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ファンフィクションよりも... 12章 [Stranger than Fafiction]

12章:Sinners and Saints
罪びとと聖人

この章は、ちょっと長いです。そして重要です。タイトルのSinners and Saints(罪びとと聖人)は、バーの名前です。意味深?
やたらと出てくる hook up date は、もうそのものです。ヤるために会う。だって hook up app(出会いアプリ)で会ったんですもん。


オクラホマの宿に着いてみるとキャッシュはまだ来ていなかった。
ジョーイは、ゲイっぽくおしゃれして、安全のために薬局にも寄って消防演習に行くみたいに張り切ってでかけた。ブライアンからの連絡を待ってぶらついていると、待合せのバーの名前と場所の連絡があった。Sinners and Saints というバーで、ジョーイは緊張のあまり水を飲む手が震えた。
ようやく現れたブライアンは、プロフィール写真よりも少し老けて見えた。反対に年を偽っているジョーイは、若く見えると言われた。ブライアンは建築家としての仕事のことを喋り、ジョーイは、名前とプロフィールも偽っていることを忘れ、ボロをだしそうになった。バーテンダーが注文を聞きにきたときに、IDの提示を求められてどきりとしたジョーイだが、キャッシュがくれた偽のIDのことを思い出してバーテンダーに見せた。そのIDを不審に思って取り上げたブライアンは、名前と写真の違う偽のIDにひどく警戒して帰ろうとした。
ジョーイは頼むから、訳を話すからと、ブライアンを引き留めた。ブライアンはジョーイの様子に自分の昔の記憶を呼び戻した。もしかして、まだ誰にも言ってないのか?経験もないのか?そして、保護者のような気分になったブライアンは、少し話をしようと座った。僕が君くらいの歳だった頃に必要だったことを君に教えておこう。どうして最初の経験をいきなり見も知らないヤツとヤルつもりだったのか?特別な誰かが現れるまで待てないのか?というブライアンに、僕たちhook-up アプリで会ったのに禁欲を説くわけ?とジョーイは反論した。ブライアンは根気よく性や出会いについて慎重になるように語った。ブライアンの初体験はいい思い出ではなかったのだろう。今夜僕らやらないの?というジョーイに絶対にやらないとブライアンは答え、最初の経験は後悔しないようによく考えることだと諭した。
ジョーイはそんなに簡単な問題じゃない、と、家庭環境や進学先のことを話した。家族にまだ話せる状態じゃない。ブライアンにも受け入れてもらえない叔父がいた。全員が受け入れてくれるわけじゃないが、受け入れてくれる人たちはたくさんいる、それがゲイの掟だよ。相談できる場所もある、自分を大切にするんだと言って、ブライアンは素早くジョーイの唇にキスをして出て行った。
ファーストキスのハイな気分から落ち着いたとき、ジョーイは聖人というより罪びとの気分だった。


その時突然、「ヘーイ、色男、デートはどうだった?」と、後ろの席から声がした。

キャッシュが真後ろに座っていて、にんまり笑って親指を立てていた。ジョーイが来たときからそこに居たと言う。ジョーイは血の気が引いた。ジョーイが楽しみにしていた夜は一瞬にして悪夢となった。ヤれなくて残念だったねえと言うキャッシュの横の席にすべりこみ、ジョーイは頼むから誰にも言わないでくれと懇願した。まだ誰にも言えるような気持ちの準備ができてないんだ。家族に言えない訳はわかったけど、どうして友達にも言えないんだ?彼らは大丈夫だろう、とキャッシュは言った。そうだけど、どこから伝わるかわからないし、もし家族に知れたら家を追い出されてしまうかもしれない。
みんなのために良かれとオクラホマバプテスト大学に行くわけ?とキャッシュは言った。人のためにと身を縮めていても誰も認めてくれないよ、時間の無駄だ。僕だって批評家の顔色ばかり窺ってたことがある。
批評家と家族を喜ばせることとは全然違うんだ、とジョーイは言った。キャッシュはジョーイを助けようと言葉をつないだが、ジョーイの怒りを増幅しただけだった。ジョーイは叫び始めた。ハリウッドのクソ野郎ども、キャッシュだってわかっちゃいない。肉体的魅力を恥いり、自分を病気だと思う気分、刑務所に入れられるかもしれない国に住むこと、自分が愛してる人たちが本当の自分のことを知らないってこと、そんなことわからないだろう!ジョーイは息が苦しくなるほどだった。張りつめていた気持ちをキャッシュが崩壊させて、ジョーイは内に秘めていたことがはじけて止まらなくなった。
気分良くなった?キャッシュが訊くと、ごめん、こんなこと言ったことなかったのにと、ジョーイは言った。

キャッシュはwiz kizのクリスマスエピソードで不道徳な話を演り、殺人の脅迫を受けたこと、恐怖で家から出られなくなったことを話した。でも、ある日ばかばかしくなって、気にしなくなった。外の新鮮な空気が必要なんだ。今まで自分がこんな強さを持ってるなんて思わなかったよ。脅迫者も逮捕されたしね。
ジョーイはイヤな目つきでキャッシュを見、作家とほら吹きは紙一重だなと思った。

ところでなぜこんなところに居るのかとジョーイは訊いた。ネットでヤる相手を探してるのは君だけじゃないよ、騒がしくなる前に帰ったほうがいい。ジョーイは、バーを出てホテルへ向かった。彼が望んだ肉体的な解放はなかったけれど、体は軽くなった。キャッシュは信用できないけれど、あのホラには少しばかり真実がありそうだと思った。




There's not enough cold water at the hotel for both of us.
僕らふたりに、お湯がたっぷりでないホテルなんてね。
キャッシュがジョーイを帰すときに言ったせりふ。ちょっと意味がとりづらくて気になります。

不道徳なクリスマスエピってグリーにもあったな笑
WizKizのお話はこんなかんじ
聖母マリアが宇宙人に誘拐されて、キリストは宇宙人と人間のハイブリッドっていう話。そりゃ、怒りを買いそうなエピソードだ。

この章は、あらすじとして端折るにはもったいない話がブライアンから語られます。是非読んでもらいたいですね。出会い系アプリで会うときには、最初は絶対に公の場所で会う。最初の相手は、ちゃんと大切な人と。などなど。当たり前の話なんですけどね。なんか、クリスの事も考えてしまいます。



    


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